身体拘束廃止に向けての宣言

益田市立介護老人保健施設 くにさき苑

身体拘束は、利用者様の心と身体を傷つけるだけではなく、生活の質を低下させ、人間としての尊厳を侵すものです。
私たちは、利用者様一人ひとりがどのような療養生活を望まれているのか、信頼と心のふれあいのある豊かで、快適な療養生活とは何なのかを追求する中で、身体拘束に至らない質の高い介護の実現に向け、全力を尽くすことを宣言いたします。

  1. 身体拘束廃止にむけ、人間としての尊厳を大切にします
  2. 身体拘束廃止にむけて、質の高い介護を追求します
  3. 身体拘束廃止にむけて、強い意志でチャレンジし続けます

身体拘束廃止の必要性

縛ることで関節が拘縮し、筋肉が萎縮し、心機能が低下し、全身状態が衰弱し、感染も起こしやすくなる。縛られてしまったという精神的なダメージとの相乗効果で、障害をもつ弱い高齢者に致命的な変化が生じ、もはや縛ることをやめても、縛られる以前には回復しなくなる。こういう身体拘束の悪循環を説明したのが下図の「抑制死」という考え方である。たとえば、「徘徊老人を抑制する→歩行能力の低下→転倒の危険性が増加したという理由でさらに抑制→全身の衰弱→治療的な処置(点滴・IVHなど)→それらの抜去を防ぎ治療を遂行する為に抑制→やがて抑制をされ点滴などの管に囲まれたまま死を迎える」というストーリーである。

多くのケースでは身体拘束してすぐに死亡するわけではなく、全身の衰弱後、感染などでなくなっていくことがほとんどである。したがって身体拘束の弊害について意識しないと見過ごされることが多い。

医療者も「患者の安全確保」という名目のもとに縛っていたが、本音は自分たちの都合で縛っていた。それは縛ること以外の方法を知らなかったからである。「ごめんね、ほかに方法がないから」と言い訳しながら縛っていた。そして、少しゆるめに縛ることや、やさしい気持ちで縛ることが唯一の悲しい工夫であった。それは専門職としても辛いし、人間としてもつらいことである。患者さんや家族、そして自分自身にいつも罪悪感を持ち、専門職としての誇りや向上心もなくしてくる。それが続くといつしか、縛ることに無関心、無感覚になってきて、患者さんやご家族の悲しい叫びも感じなくなってくる。

抑制死の考え方

身体拘束の弊害

身体的拘束 ・生理機能の低下
・食欲の低下、脱水、褥創、関節の拘縮、全身の筋力の低下、心肺機能の低下、感染症への抵抗力低下
⇒慢性抑制死
・事故など…嘔吐物による窒息、抑制帯による事故
⇒急性抑制死
精神的拘束 ・痴呆の進行、せん妄の頻発、昼夜逆転
・利用者の精神的苦痛…怒り、不安、恐怖、屈辱、抵抗、拒絶、錯乱、あきらめ、荒廃
・家族の精神的苦痛…怒り、屈辱、混乱、あきらめ、不信、後悔、罪悪感の持続
・従事者の精神的荒廃…虐待、独善、無神経、無感覚、あきらめ、士気の低下
社会的拘束 ・老年期への不安増大
・高齢者施設・機関への不信・偏見とバッシング
・老年看護・ケアへの人材不足、慢性的な人手不足

身体拘束の定義

  1. ベッドに体幹や四肢を紐などで縛る
  2. ベッドをベッド柵4本で囲む
  3. ベッドに柵をして、取り外しが出来ないように固定、または高い柵をつける
  4. 手指の機能を制限するミトン型の手袋をつける
  5. 車椅子や椅子から立ち上がれないように、安全ベルトやテーブルをつける
  6. 車椅子を自操できるのに、車椅子を固定し動かせないようにする
  7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
  8. 脱衣やオムツ外しを制限するために、拘束衣(つなぎ服)を着せる
  9. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
  10. 鍵がかかる部屋に隔離する
  11. 指示、命令など威圧的な言動、対応をする
  12. 要望に対し、無視、無関心、支援拒否などをする
  13. ご家族の付き添いが必要という理由で、家族の生活を拘束する